
老人の肖像 II
密で抑制の利いた鉛筆線のあいだから、半眼の老人の顔が、静けさと強靭さを帯びて立ち現れる。
温かなベージュの紙面に鉛筆が走り、重ねられたクロスハッチと確かな構造線が、粗い肌理と顔の面の転換を刻む。画面は顔と首元へ強くトリミングされ、目はほとんど閉じ、唇はわずかに開く。静かな呼吸のうちに、わずかな倦みが漂う。光は片側からかすめ、強いコントラストではなく、密に束ねた線と抑えたぼかしで量感と重みを立ち上げる。鋭さと抑制のあわいに、耐え忍ぶ気配と静かな時間感が浮かび上がる。
- カテゴリー
- 人物・デッサン
- 制作年
- 1985
展示風景
