
耳の習作
抑えたグレーの静けさの中、光に刻まれた耳のレリーフが立ち上がり、柔らかさと鋭さの転換が、ひとつの「聴く」行為のように冴える。
鉛筆は細密な斜めのハッチングと穏やかな擦りを交え、量感と肌理を豊かに築く。右上からの光が内側に最も深いコアシャドウを刻み、ブロックの投影は左下へ伸び、背景のグレー面と簡潔な幾何学的対比を成す。矩形の台座は右側からわずかに傾けて入り、余白と陰影のあいだで耳介を前景へ押し出す;硬いエッジと消え入りそうなエッジの切り替えが形体に呼吸を与える。全体の気配は静かで集中し、習作の厳密さを「聴く」かたちへの感受性へと転じている。
- カテゴリー
- 人物・デッサン
- 制作年
- 1981
展示風景
