
人魚
荒波と風のただなか、飄う帯をまとい脚に鱗をのぞかせる女が岩に端坐し、合掌して海の喧騒に静けさで応える。
水墨と淡彩が灰調の海天を敷き、重ねた擦りと余白が巻き上がる波を起こし、線は鋭く律動的である。人物は細緻な線描で、衣の帯と長い髪が風に流れ、波の旋回と呼応し、脛にはほのかな鱗がのぞく。画面は右下の礁を支点に、遠い水平線と二羽の海鳥へ斜めに開かれ、動と静が釣り合う。奔騰と沈思が並置され、神話の気配と人の情が同じ瞬間に交わる。
- カテゴリー
- 人物・水彩・工筆
- 制作年
- 2006
制作の過程

1. 下描き

2. 墨入れ
展示風景
