
秋山紅葉
赭土が地平を染め、雲海に鋸歯の峰々が浮沈し、手前のねじれた松が絶壁に根を張る──秋気は清冽にして静か。
設色山水の技で、湿った墨の滲みが霧を広げ、乾いた筆致の皴が断崖の骨格を立ち上げる。赭土と灰墨の対照が、秋の冷暖のゆらぎを際立たせる。構図は高遠と深遠を併せ、遠くに橙赭の山並みがほの見え、中央は重い墨で岩壁を挟み、広い余白が雲海となり、二三本の松が岬状の岩に横斜して画面の眼となる。虚実の交錯が空間を層状に押し進め、気配は澄みわたり静かで、霜晴れの一日、谷に松籟のみが残るかのよう。
- カテゴリー
- 水墨画・山水
- 制作年
- 1996
制作の過程

1. 下描き

2. 墨入れ
展示風景
